- 就労移行支援って何?
- 実際に応募からサービス利用までの流れはどんな感じなの?
- 色々と勉強しているけど就労移行支援について、今ひとつ理解できない。
こういった疑問に答えます。
こんにちは、かつまるです。
この記事を書いている僕は元うつ病患者。約3年間うつ病に悩まされましたが、その後克服。
その経験を生かせるかも?という思いから、現在は主に精神障害者をサポートするお仕事に携わっています。
今回は就労移行支援について利用者目線で解説していきます。
就労移行支援とは?分かりやすく解説します

就労移行支援ってどんなサービス?
就労移行支援とは、現在就労が困難な方への福祉サービスのひとつ。
「就職」という明確なゴールへ向けて、支援を受けながら就職への訓練を行う場を提供しているサービスのことです。
分かりやすく言えば「就職するための学校」という感じですね。
支援って具体的に何をしてくれるの?
具体的な支援内容は以下の通りです。
- 魅力ある履歴書を作るために指導・サポートしてくれる
- 面接の心構えから受け答えまで指導・サポートしてくれる
- 希望があれば面接への同行支援をしてくれる
- 就職活動だけでなく、生活管理の相談も受けてくれる
就労移行支援は単に就職をゴールとしているわけではありません。
「就職する、そして安定した生活を送る」のをゴールとしています。
利用者の生活管理までサポートしてくれる理由はそこにあります。
訓練って具体的に何をするの?
具体的な訓練プログラムの中身は事業所によって色々ですが、大きく分けて4つに分類されます。
- ビジネスマナーに関するプログラム
- 職種別の専門知識に関するプログラム
- 体調管理・自己管理に関するプログラム
- コミュニケーション能力の向上に関するプログラム
それぞれ具体例を見ていきましょう。
就職活動・ビジネスマナーに関するプログラム
- 挨拶・敬語
- 電話応対
- 履歴書・職務経歴書の作成
- 来客対応
- お茶だし
- 名刺交換
- 身だしなみ
- 職場実習(企業インターン)
- 企業訪問
- 面接ロールプレイング・模擬面接
- 企業・業界研究
職種別の専門知識に関するプログラム
- 基礎:タイピング
- IT:プログラミングの基礎(html、css、php、java等)
- IT:デザイン(イラストレーター、フォトショップ等)
- IT:事務(Word、Excel、PowerPoint)
- IT:HP作成
- 会計:簿記
- 職場体験、現地実習
体調管理・自己管理に関するプログラム
- 自己分析
- ウォーキング
- ストレッチ
- ダンス
- ヨガ
- マインドフルネス
- 栄養学
コミュニケーション能力の向上に関するプログラム
- SST訓練(ソーシャルスキルトレーニング。対人関係技能)
- グループワーク
- アンガーマネジメント
- 社会生活技能
- ブレインストーミング
以上が訓練内容の例です。
こうしてみるとたくさんの種類のプログラムがあることが分かりますね。
一日の利用時間は?

各事業所により様々ですが、4時間前後が一般的です。
利用期間は?
原則2年までと定められています。つまり、利用開始から2年以内に就職を目指すということになります。
中断した場合
例えば、利用を開始したが1年間で辞めてしまった。その後また利用したくなった。
そんな場合は1年間の再利用できる余地があります。
利用期間は累計2年までとされているのでリセットは出来ません。
引越し等やむをえない理由で中断になった場合は別の就労移行支援事業所へ変更も可能です。
ただし各市区町村により細かい規定は変わる場合があるので、ここに関してはそれぞれ確認が必要です。
就職出来なかった場合
利用期間累計2年で就職に結びつかなかった場合は、最大1年間の延長が可能です。ただし延長するには申請が必要。
市区町村の審査会で認められれば期間延長となります。誰でも気軽に延長できるわけではないのは残念なポイントですね。
就労移行支援の広がりは?
施設数は全国で3,500ヶ所以上、利用者数は全国で35,000人以上となっています(※2018年時点)。
施設数、利用者数ともに年々増えています。全国的にそんなに広がっているのかとびっくりしますね。
対象者は?
以下の条件になります。
- 18歳以上65歳未満
- 障害や難病のある人
- 就労を希望し、就労が可能と見込まれる人
※ただし、障害がなくても医師や自治体の判断により、就職が困難だと認められた場合には利用できる場合があります。
給与はある?
賃金はありません。
就労移行支援は、就労のための支援や訓練を受ける場所なので、雇用契約を結ぶわけではないです。
サービス利用料って何?
障害福祉サービスを利用する上で発生する自己負担利用料のことです。
利用料が発生する可能性があり、利用料がある人、ない人に別れます。
区分けは以下の通り。
対象 | 自己負担利用料 |
---|---|
生活保護受給世帯や市町村民税が非課税の世帯 | 無料 |
市町村民税の所得割が16万円以下 | 9,300円 |
市町村民税の所得割が16万円以上、又は20歳以上の入所施設利用者、グループホーム、ケアホームを利用している | 37,200円 |
前年度の収入によって自己負担料がそれぞれ変わってきます。
就職率は?

全国の就労移行支援事業所の平均就職率は22.4%です(2015年度社会福祉施設等調査による)。
利用開始から2年以内に就職しているのは約5人に1人になるのは、ちょっと少ないと感じますね。
ただし、事業所によっては就職率90%を超えているところもあります。
事業所を選ぶときは「就職率」をひとつのポイントとして見ていくと良いですね。
職員の配置は?
就労移行支援には4つの役柄があります。
役柄 | 業務内容 |
---|---|
生活支援員 | 利用者の健康管理や相談支援を行い、生活能力の自立を促す |
職業指導員 | 作業の指導を主に行い、利用者の職業的自立を促す |
就労支援員 | 主に就労先の企業との調整を行う。職場体験や面接同行なども行い、支援する |
サービス管理責任者 | 障害福祉サービス全体の責任者。生活支援、生産活動の指導に加え、利用者の個別支援計画や評価などを行う |
普段の日常生活での困り事は生活支援員に、作業の技術的なことやビジネスマナーは職業指導員に、企業へのアプローチに関しては就労指導員に相談します。
サービス全体を取りまとめるのがサービス管理責任者といった感じですね。
設備は?
就労移行支援には一定の設備基準があります。
作業室 | 訓練・作業に支障がない広さがあり、必要な機械・器具などを備えていること |
相談室 | 仕切りなどを設けること |
洗面所、トイレ | 利用者の特性に応じたものであること |
以上の条件をクリアする必要があります。
就労移行支援【利用の流れを6ステップで解説】

では、実際に就労移行支援を利用するまでの流れを見ていきます。
まずは就労移行支援事業所へ問い合わせをします。
各事業所によって、取り組みに大きく違いがあったりするので、事前にある程度調べておく必要があります。
次に見学です。事業所の雰囲気なども分かるので、しっかり見させてもらいましょう。
見学が終わり、実際に応募したいとなれば応募手続きへ進みます。日程に従い面接を受けます。
次にアセスメントへと進みます。アセスメントとは簡単に言えば「体験利用」と考えてOKです。
アセスメント期間は事業所によって様々。
アセスメント期間について具体的な日程が分からなければ予め聞いておくと良いですね。アセスメントが終了すると合否通知を受けます。
合格通知を受ければ次のステップです。役所へ行き、障害福祉窓口へ。福祉サービスを利用する旨を伝えます
手続きを進めていくと「相談支援専門員」という担当者がつきます。
相談支援専門員とは、利用者と支援サービスをつなぐサポート的な役割を担う人のことです。
相談支援専門員は、福祉サービス事業所の人ではないというところがポイントです。
なので中立的な立場での支援・サポートを行ってくれる人と考えると分かりやすいでしょうか。
福祉サービス受給者証を受け取り、ここでようやく利用スタートです。
実際には受給者証の受け取りは手続きの関係上、前後することがありますが。
利用の流れは以上です。
手続きが難しそうと感じる方もいるかもしれませんが、就労移行支援事業所が手続きのサポートも行ってくれるので、特に大きな心配はいらないかと思います。
就労移行支援:よくある質問

その他、就労移行支援でよくある質問をまとめましたので、参考にしてください。
ということで今回は終わりです。
「就労移行支援ってどんなところ?」という疑問から、「実際に利用してみたいかも」と思った場合、いくつか見学に行くのが良いと思います。
自分が働くイメージが湧くと思いますので。実際に応募するかどうか悩むのは見学の後がおすすめです。
これからの働き方を迷っている方にとって、この記事が参考になれば幸いです。